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iPhoneの動作遅延。もしジョブズがいれば…

アップルはジョブズが持っていた「ユーザー視点」を取り戻せるか

■ジョブズ追放、スカリー時代におこった「価値観の変化」

 ジョブズはジョン・スカリーによって1985年にアップルを追放されていますが、その後の数年間、アップルは急成長を続け、コンピュータの販売台数で世界一の企業となっています。しかし、そこから一気に失速しています。その理由をのちにアップルに復帰したジョブズは「価値観の変化」と指摘しています。

 スカリー時代、アップルにとって大切なものが製品ではなく金儲けに変わったことで、優れた製品が生み出せなくなり、アップル製品のファンを減らし、結果的に経営危機を招いたというのがジョブズの分析です。やがてアップルに復帰したジョブズは「宇宙に衝撃を与えるほどの優れた製品をつくる」というアップルの原点に立ち返ることで危機にあったアップルを見事に再生したばかりか、時価総額世界一へと同社を導いています。

 つまり、優れた製品なら「喜んで買う」けれども、金儲けのためのおかしな操作によって「仕方なしに買わされる」のは我慢がならないというのがアップルユーザーの真意なのでしょう。たしかにジョブズがつくる製品は最初のiPоdの価格が399ドルと、「高すぎる」という批判を浴びたように「安さ」を売りにすることはありません。にもかかわらず圧倒的な支持を得るのはユーザーのために「考え抜かれた製品」だったからです。

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桑原 晃弥

くわばら てるや

1956年広島県生まれ。経済・経営ジャーナリスト。慶應義塾大学卒。業界紙記者、不動産会社、採用コンサルタント会社を経て独立。人材採用で実績を積んだ後、トヨタ生産方式の実践と普及で有名なカルマン株式会社の顧問として、『「トヨタ流」自分を伸ばす仕事術』(成美文庫)、『なぜトヨタは人を育てるのがうまいのか』(PHP新書)などの制作を主導した。著書に『スティーブ・ジョブズ名語録』(PHP文庫)、『ウォーレン・バフェット成功の名語録』(PHPビジネス新書)、『伝説の7大投資家』(角川新書)、『トヨタのPDCA+F』(大和出版)など。バフェット関連書籍多数。


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